やってきたのは特捜六課の駐機場。
 そこに置かれていたのは赤と青、二台のスポーツタイプのバイクであった。
「そいつはセレナのバイクだ」
 そう言い、鍵を渡される。
「夫婦揃ってツーリングとは仲よろしいね」
「後ろに余計な奴がついてくるけどな」
「やあ、私はいつもどおり兄さんの後ろだ」
 ひょいとアリオンさんが現れて赤いバイクのタンデムに乗りよった。でっけー鉄製のバッグ背負ってるけど、多分あれ、デバイスだよな……。
 アンタも戦うのか?という疑問はさておき、フーガはあたしに疑問があるんじゃねーのか?と思いながらニヤニヤして質問を待ってみた。
「ノリで鍵を渡したけど、そもそも乗れるか?」
 ほれきた。
「一応、ドクターからプログラミングは受けてる。何でも乗れるようにって」
 自分でも認めるぐらいドヤ顔で答える。
「さすがスパイ活動担当だな」
 と、関心そうに答えられ、思わず照れてしまった。
『セイン、我を装着してから乗れ。フツノミタマとリンクしてディープダイバーの共有をする』
 そんなことまで出来るのか。
 神機デバイス、チートすぎるだろ。
『ムラクモ、フォローは私が行います。フツノミタマ、相当複雑な演算ですが行けそうですか?』
 アリオンさんのバッグが丁寧な言葉で喋った。
『心配するなってば、アバランチ。ボクに不可能なんてないね』
『ですが先日のアンダーズとの一線で、フーガ様の魔力限界値を超えた運用で余計な修理を……』
「あれが俺が命令したからそうさせた。でなきゃ俺が捕まってた。俺のフっちゃんが勝手に暴走するわけないだろ」
『いや、する。そやつはそういう奴だ』
『ムラクモ、うるさい』
 いや、てめーらがうるせー。
「あのさ、余計な話してねーでさっさと行こうぜ」
「正論だ、それじゃ行こうか。アリオン、ミカヅチの居場所をサーチしてナビってくれ」
「もうやってるよ。近くの山の穴蔵に結界を張って潜んでいるみたいだ。ほら早く早く。ノアさんが心配だ」
「なんでまた」
 やたら急かすアリオンさんを見て、フーガ兄が呆れた顔をして首をかしげた。
「だってセインちゃんに化けたセレナさんさらったの、ノアさんだったんだもん」
「……そいつぁ想定外だ」
 ……それはあたしもビックリだ。
 そりゃさっさといかねーとな。
 あたしら二人は同時に変身をし、それぞれバイクへとまたがった。
「行くぞ、セイン」
「ああ」
 一泡も二泡も、吹かせてやろうじゃん。

 ◇ ◇ ◇

「以上のことから、敵は目標と共にこちらへ強襲を仕掛けてきます。実際、私のデバイスに追跡のためのアクセスログも残っておりました」
 フーガとアリオンの性格を読み、私はファウスト様へ特捜六課の今後の動きについて説明をした。
 あの二人は単純だ。裏付けもあったし、まず間違い無いだろう。
「貴様を手駒にして正解だったな。やはり緑髪のとは違う」
 褒められ、私は仮面の下で薄く笑った。
「ファウスト様、発言の許可をよろしいでしょうか?」
「どうした、レフティ」
 ルーテシアちゃんにそっくりな、小柄で長い黒髪の少女がファウスト様の前に跪く。
 ライティ様とは違い、忠実で私にも優しい御方だ。
「セレナから得た情報の中で気になったことがあります。ナンバーズの強化装甲デバイスです」
「ムラクモか。確かに未知の存在ではあるな……」
「申し訳ありません。私にも十分な情報が与えられておりませんので何処までのものかは答えかねます……」
「いや、いい。それがあるとわかっただけで十分だ。レフティ、お前はライティと共にフーガとかいう半端機人の制圧に当たれ。私はノアと共にセインを捕える」
「そのノアちゃんなんですけどぉ」
 ライティ様が手を上げて発言をした。
「感情が不安定になっていますわ。やはり施術時間が短かったせいでしょうか……?」
「いや、十分にあったはずだが」
「それに関してですが」
 私は失礼ながら二人の会話に割り込んだ。
「ノアの種族は自己再生能力に長けております。それが制御装置の効力を弱まらせているかと」
「……想定外が続くな……」
 ファウスト様は小さくため息を付いた。
「ライティ、例の場所に縫いつけろ。ひょっとしたら別の事に使えるかもしれん。セレナ、引き続き情報提供を」
「はい、ファウスト様」
 そう言い、私はミカヅチをコンソールモードにして特捜六課に関するあらゆる情報を引き出した。
『主、目を覚ましてください。今のあなたは正気ではない』
「ミカヅチ、黙って私の命令を聞きなさい。いえ、言葉では反抗出来ても所詮はプログラム、私に逆らうことなど出来ないわよね」
『……いずれ神罰が下りますよ』
「その前に神は殺されるわ、ファウスト様によってね」
『……』
 それ以降、ミカヅチは言葉を発するのをやめた。
「その冷徹、人間にしておくのはもったいないな。設備が整い次第、我々と同じ体に作り替えてやりたいところだが、人間だからこそ出来る事もあるのだろう」
「どうでしょう? 申し訳ありませんが、今の私にはわかりません」
 正直、もう人間とか戦闘機人とか、どうでもいい。
 与えられた命令を、頭脳を駆使して確実に遂行する。
 これほどまでにシンプルな生き方を受け入れない人間は、きっと愚かだ。
「セレナ、お前は確かフーガの伴侶だったな」
 何かに気づいたように、ファウスト様が仰った。
「ええ」
「ならばレフティと共にフーガの制圧に当たれ。」
「申し訳ありませんが、それは得策とは思えません。フーガは例え妻であっても敵と判断すれば躊躇なく制圧にかかる男です」
 そうでなければ私が選んだ甲斐がないもの。
「なるほど、ますます手駒にしたくなってきた」
 ファウスト様はくくくっ、と深く笑った。
 私も思わず笑みを浮かべた。
 フーガもセインちゃんも囚えて、こちら側についてもらえれば……。
 特捜六課の特性たる隠密性を使い、量産された仮面を密かにばらまいて、あっという間にこの星を制圧出来る。
 最終的に立ちはだかるのは人ならざるナンバーズ達だろう。
 けれども彼女たちに果たして勝ち目はあるのかしら。
 それとも宇宙に投獄されているナンバーズ達を解き放ち、ファウスト様に挑むつもりかしら。
「特捜六課、どうやら貴様達の支配は我々にとって大きな一歩になりそうだ。レフティ、セレナ。確実にフーガを捕らえろ。もはやセインはそのあとでもいい。だが絶対に逃がすな」
「「はっ」」
 私とレフティ様は頭を下げ、その命に従った。
― その瞬間だった。
 どこからともなく耳慣れたエグゾースト音が聞こえたのは。
「来たか」
 ファウスト様が立ち上がり、私とレフティ様はその左右を固める。
「レフティ! セレナ! 入り口で迎え討て!」
 と、命じられた瞬間だった。
 激しい風とともに、あの二人は現れた。
 それも見慣れない装甲をつけて、おまけにバイクで直接ここに飛び込んでくるだなんて……!
「お前のディープダイバー、意外となんでも出来るもんだな、兄妹」
「ぶっちゃけやった自分でもビックリだぜ、兄妹」
「んうー、ノアさーん」
 不敵な笑みを浮かべながら……若干一名、変なの混じってるけど……彼らはやってきた。
 忘れていた。
 大事なことを、忘れていた。
 フーガは、彼は、常識なんて通用しない。楽して任務を完遂するならどんなことでもする男だ。
 そしてセインちゃんもまた、常識を弄ぶタイプの人間だ。
 それは予想できたはず。
 なのに、なのになぜ、出来なかったの、私は……!

 ◇ ◇ ◇

「八百万の神達と共に!フーガ・ヴォルドール、ただ今見参!」
「極めて汚れも滞り無れば穢れとあらじ! シスター・セインさん、参上!」
 って、フーガにつられて決め台詞言ってみちゃったけど……案外、悪く無いね、これ。
 額当てもフーガが角一本にあたしが角二本……。
 敵地に乗り込んで暴れまわるなんざ、もはや鬼ですな、地球の民話に出てくる。
「貴様ら、人の屋敷にバイクで上がりこむとは……!」
 なんかノーヴェによく似た長身のヤローが吠えてる。
 あたしはノーヴェに接するように答えた。
「ちょいとドライブのついでに通っただけさ」
「ファウスト様を愚弄するな!」
 と、いきなりぶっとい光線が飛んできた。
 ルーお嬢様によく似た黒髪の少女がヘヴィバレル持ってやがる。
 けれども威力は所詮プロトタイプ。
 フーガが軽々と胸の装甲で防御をした。
『フーガ、相手の攻撃、ばっちり吸収したからムラクモに譲るね』
「あいつは燃費悪いからなぁ」
『神機を車両のように表現するな、うつけども!』
 ああ、さっきのバイク二台をディープダイバーで『我はもうダメだ、長い眠りにつく』みたいなこと言ってたのムラクモさんが元気になりよった。
 すげえな、神機のウルテクリンク機能。
「兄さん、私はノアさんを助けに行くよ」
 フーガ兄の後ろに隠れていたアリオンさんが、物凄いスピードでどっかに消えた。
「なんだ、今の能力は……! セレナ、説明しろ!」
「今のはアリオンの特殊能力、エンジェル・バーストです。風の力で加速するのですが、本人は疲れるから使いたくないと……!」
 おうおう、横にいる道化師仮面のねーちゃんがセレ姉でしたか。
「敵を騙すには、まず自分からだ」
 フーガがすげえしたり顔で言った。
「なにその大胆発言。本当に正義の味方かよ」
「汚れ仕事やってて正義の味方なんざ、ハナから思ってねえっての」
 こんな敵の本陣でわきワイワイという余裕のあたしら。
 対して敵の大将は……。
「奴らのペースに弄されるな。レフティ、弾幕!」
「了解!」
「させるかっての!」
 まさかとは思ったけど、フーガが思いっきり飛び込んでどっかに行った。
 いや、多分、敵の動力奪ってあたしの方に送り込むつもりなんだろうけど……。
 ……。
 待て。
 実質、二対一じゃねーか、これ。
「ふふ、まさかセインをこの手でねじ伏せられる事になるとはな……」
 うわあ、敵のリーダー、嬉しそう。
 ひょっとして、あたしにぞっこん?
「援護します」
 セレナさんが仮面のしたでそう言うなり、あたしの体が一気に重くなった。
「あれっ?」
『いかん、ウイルスを仕込まれた』
「ムラクモォオオオオオ! てめえ、今まで偉そうな口叩いてなにやってんだよォオオオ!」
『相手も神機jの使い手だ、許せ』
「許さねえ、ぜってー後悔させてやる」
 そう言い、あたしは悪辣に笑った。
「無駄口を叩いている場合か!」
 偽ノーヴェがあたしに飛び込んでくる。
 へっ。
 予定通りだ。
 ……さあ、ショータイムだ!
 まずは装甲を吹き飛ばし、ヤツの視界を撹乱する。
 そしてブレードトンファーの柄でみぞおちに一撃。
 更に掌底で右目を潰し、左の回し蹴りで右の耳の機能を破壊する。
 相手は逆上して何かしらのISを使ってくるだろう。
 考えられるのは、あの直情的な動きからしてライドインパルスによる超高速戦法。
 それが起動した瞬間、ディープダイバーで潜ってセレナさんの背後を取って、気絶させて奪取してどっかに運ぶ。
 と、いうわけで。
「ムラクモ!」
『装甲開放!』
「むうっ!?」
 あたしを拘束していた装甲が飛び散り、敵の視界を奪う。
 予定通りブレードトンファーの柄がみぞおちを捉え、左の掌底は魔力を付与させて右目を穿った。
 更に左脚で耳を狙った……瞬間、敵の姿が消えた。
 ちょっと予定より早いけど、あたしは地面の下に潜った。
 指先をほんのちょっとだけ出して外の様子を探る。
 予想通り、ライドインパルスこそしたものの、敵の大将さんはあたしを見失って明らかに慌てていた。
 さて、セレナさんは……。
 ミカヅチの操作に夢中だ。多分、あたしを探してんだろうな。
『慌てるなよ、六の字。確実にセレナを確保するのだ』
「オーケー、相棒」
 言われて私は考えた。
 下手に姿を晒すより、足を引っ張って引きずり込んだ方がええわな、と。
 というわけで、あたしはセレ姉の足首をつかんでディープダイバーの世界へとお連れした。
 抵抗はしたものの、中は水の中のようなもの。
 思うように動けないセレ姉は戦闘機人との力の差もあって、あっという間にあたしに羽交い絞めにされた。
(まずはこのふざけたお面をとってやるか)
 セレ姉を操ってるのはコレに違いない。
 まずは外そうとしたが、顔に吸い付いているのか、うまく剥がれない。
 けれども……指が入るくらいの隙間はある。あ、なるほど、口とか鼻にチューブがねじ込まれているのか。どうやって話してたんだ、今まで。
 ならばと思い、あたしは仮面を鷲掴みにして力づくで割ることにした。
(ふんぎぃいいいいいい!)
 握り締める力に比例してもがくセレ姉。
 我慢してくれ。
 あんたを取り戻さないと、こっちが自由に戦えないんだ。
『処理に気をつけよ。この仮面、危険な香りがする』
(ああ、他人を操るなんざ、正気の兵器じゃ……ねえしなッ!)
 バリン、と仮面が割れ、セレ姉の顔が現れた。
 力が一気に抜けて抵抗をやめた。
(良かった……)
 と、安心した瞬間だった。
 セレ姉の大きな瞳がカッと開き、あたしの首をグッと閉めてきた。
(やべえ!)
 おまけに反動で外へ押し戻される。
 未だに敵の手中にあるであろうセレ姉の顔は妖しい笑みを浮かべていた。
 よく見ればうっすら青いアイシャドーとリップグロスまでしちゃって……!
『あの顔色、体液交換か!? セイン、仮面から供給された魔液がセレナを仮面の呪縛に囚えておるぞ!』
 ご説明ありがとうよ、ムラクモ。
 けれどさすがにこの状況はやべえ。
 ほら、気がついたら地上に押し戻された。
「よくやった、セレナ」
 今度は敵のリーダー格に羽交い絞めにされた。
「私より彼女の詰めの甘さを褒めて差し上げてください、ファウスト様」
 妖しい青に染まった唇を歪め、セレ姉はあたしを侮蔑するように見た。
 チキショー、完璧な嫌味過ぎて……あー、ムカつかないわ。姉妹からのからかいで慣れてるし。
「戦力にするには調整が必要だな。私はレフティの方へ加勢しに行く。セレナ、セインを拘束しろ」
 その命令に忠実に従い、セレ姉はあたしの手首足首に青い魔力の枷を仕掛ける。
 さすがにこればっかりはディープダイバーではどうしようもできない。
「ノアの方はどうなさいます?」
「今ごろアリオンとかいう女がセインと同じ目にあってるだろう。ライティも控えている。まさか仮面を壊しても終わらないなど、想定外だろうな」
「それもそうですね」
「では、後は任せた」
 そう言い残し、ファウストのヤローはライドインパルスを使って姿を消した。
 しかしあのセレナさんがここまで堕ちるだなんて。
 アンダーズ共め、なに考えてやがる……。
「さあ、セインちゃん。まずはその詰めの甘い性格、どうにかしてあげないとね」
 そう言い、コンソールモードのミカヅチを操る。
『ミカヅチ、どうした! 神機の誇りを忘れたか!』
 ムラクモがミカヅチに一喝した。
『忘れたわけではございません、どうすることも出来ないだけです。権限の操作や調整など、主の腕前はご存知でしょう? アリオン様以上のスキルですので……』
『そんなもの、根性でどうにかせぬか!』
 ムラクモ、それはいくらなんでも無茶だろ。
 そんなことを言っている間に、珍妙なコードがあたしの四肢に突き刺さる。
 妙な電気信号が送られて、あたしの思考にノイズが走り始めた。
 うわぁ、考えるの怠くなってくる……。
『我々デバイスにそのような機能はございません』
 ですよねー。そんなもんあったら、もはやデバイスじゃねーっての。
『そんな理屈、通りはせぬぞ。現にフツノミタマはフーガの意識が失くなっても、ヤツの体を使って戦っている!』
 マジかよ。
 いや、ありえないことはない。
 確かスバルのやつが気を失ってた時にデバイスのマッハキャリバーが勝手に動いて、戦ったってデータがあったな……。
『……デバイスが主を操作出来るというのですか……!?』
『少なくとも我らはそこら辺の手ぬるいデバイスではない。神機の現身だ。誇り高き我らがただ使われるだけでいいのか、ミカヅチよ。我らは時として使い手を導く存在でなくてはならぬだろう?』
『……』
 しばしの無言。
 やがてミカヅチは答えを出した。
『主、私はあなたの命令に背きます』
「無駄よ、そのくらいの対策は……」
『清らかだった心も、もはや穢れに満ちている。そのような『者』に付き従う理由はありません』
「強制終了なんてさせないんだから」
 やがて見えない戦いが始まる。
 ミカヅチとセレ姉による、電子の中での戦いが。
 本当はあたしがセレ姉を昏倒できりゃいいんだけど、バインドが弱らないのは流石というかなんというか……。
 けれども奇跡というか救いというか、ああ、チャンスっての?
 そういうのって待っていれば必ずやってくるものだ。
 強烈な爆撃がセレ姉の周囲を覆い、ミカヅチはコンソールモードを強制終了させた。
 しかも対象の気絶を誘う正確な爆撃、間違いない。
「チンク姉!」
「遅くなったな。いや、お前達が先行し過ぎただけか」
 セレ姉のデバイスを懐にしまいながら言う。
「ホント。まさか応援要請しといて先に行くだなんて、さすが特捜というかなんというか……保護対象のセインちゃんまでいるだなんて」
 ギンガも!? そういや応援に来るとか言ってたっけ、すっかり忘れてた。
「ギンガ、奥でも交戦しているようだ。ここは私に任せて加勢をしてやってくれ」
「了解!」
 土むき出しの悪路をローラーブレードで華麗に滑走し、ギンガは穴蔵の奥へと進んでいった。
 その間にチンク姉はセレ姉に本局御用達の手錠と足かせをつけて、あたしを戒めるモノたちを破壊してくれた。
「新調したのか、似合っているぞ」
 青と黒のナンバーズ風コスチュームを見て、チンク姉はニヤリと笑った。
「貸してもいいぜ、有料で」
「変わらぬな。いや、教会にいた頃よりむしろ肩の力が抜けたか?」
「かもね」
 立ち上がり、あたしは首を鳴らしながら答えた。
「あたしも奥に行ってくる」
「ああ、セレナ陸士の保護は任せろ」
 チンク姉の心強い言葉に、あたしは背中を向けたまま頷いた。
「ふ、ふふ……」
 背後で、セレ姉が不気味な笑い声をあげてる。
 ……セレ姉、絶対、元に戻してやるからな……。



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初版:2011/08/16

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